世界33カ国の中で日本の睡眠時間はもっとも短く、1日あたり442分（7時間22分）でした。

睡眠時間に正解はありません――人によって日によって違います

　「年配の人からはよく『若いころは8時間眠れたのに、最近は6時間も寝ていられない』といった嘆きを聞くのですが、実は、年齢が上がっても、皆さんが思っているほど睡眠時間は短くなっていません」と三島教授は指摘します。

　睡眠ポリグラフ検査という、脳波や眼球運動、心電図、筋電図、いびきなどを総合的に調べる検査を実施して睡眠について分析した169本の科学論文の結果を横断的に解析した研究によると、睡眠時間は年齢が10歳上がるにつれ10分間短くなる程度、つまり20歳と80歳では60分しか違わないことがわかりました。2019年に、カナダ・トロント大学などの研究チームが、医学誌「ランセット・レスピラトリー・メディシン」に公表した論文で詳しく紹介されています。

一方、睡眠時間は長いほどいいかと言うと、そうとは限らないようです。「JACC　Study（コホート研究による発がん要因の評価に関する研究）」と呼ばれる、全国の住民の健康状態を30年近く追跡調査した研究の一環として、約9万9千人の睡眠時間と総死亡リスクの関係も調べられました。その結果、睡眠時間が短いだけでなく、長くても、死亡リスクが上がることがわかりました。

　男性の場合、7時間睡眠の人の死亡率を1とすると、睡眠時間が4時間以下の人の総死亡リスクは1.3倍になる一方、10時間以上の睡眠でも1.4倍になっていました。女性では、4時間以下で1.3倍、9時間で1.3倍、10時間以上で1.6倍と、睡眠時間と総死亡率の関係は「U字形」になっていました。

　ただし、これはあくまで平均値で、すべての人にとって7時間睡眠がいいというわけではありません。必要な睡眠時間や、適切な睡眠時間には大きな個人差があるからです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d069277e6ab9a1e467fdf89587be8b56420cf5ec?page=2